2023年第三話 カボチャの立体栽培にチャレンジしました
2023-06-25
カボチャの立体栽培にチャレンジしました。
苗作りから始め、遅冬からポット苗を作るとともに、畑に移植して立体栽培を行いました。
はじめに
カボチャはウリ科の植物で、乾燥に強く冷涼地で栽培できます。荒れた土地など比較的幅広い土質で育てることができ、日本でも広く栽培されています。
ミネラルやカロチンも豊富で、糖質や繊維質も豊富なことから栄養価の高い野菜として知られています。また常温で長期保存が効く珍しい野菜の一つです。
苗作りと生育初期
苗作り
遅冬の2023年2月23日、食用のカボチャの種を採取して、苗作りを始めました。
カボチャの綿から種を取り出す。ヌメリを洗い落として乾燥させ、ビニールポットに入れて苗作りしました。
3月6日、いくつかのポットから、カボチャの双葉が芽を出しました。寒い時期ということもあり播種から10日経過してはじめて、芽出しにこぎつけました。
3月10日、全てのポットの双葉が出揃いました。
写真の上部はスナップエンドウの苗です。大きさを比較すると、双葉がずいぶん大きいことが分かります。
苗植え
本葉が出始めた3月15日、カボチャの苗を畑に移植しました。
カボチャのつるがは大きく長くなることから、畝幅90cmと大きめの畝を作りました。
アンドン
3月中旬から4月中旬までアンドンで幼苗を囲みました。
アンドンとは、防風対策と防虫対策を兼ねて苗の回りを囲むようにしたものをいいます。
この時期はまだまだ寒く遅霜による立ち枯れの可能性もあります。また春先に大発生するウリハムシからの食害も考え、アンドンを置きました。
アンドンは、100均で購入したメッシュとラップで作りました。光が差し込んで成長を促進させるとともに、成長の様子を観察できるよう工夫しました。
春一番のような強風でアンドンが吹き飛ばされないよう、畝の角に杭打ちしました。
気候が落ち着き暖かく安定した4月後半、カボチャも本葉が何枚も出て十分成長したことから、アンドンを取り外しました。
竹マルチ
アンドンを取り生育が落ち着いた頃、4月下旬にカボチャの畝に竹でマルチングしました。4月24日に撮影しました。
カボチャの畝幅は90cm、畳一枚のスペースに3本のカボチャの苗を植えています。
家庭菜園程度の大きさに合うようなビニールマルチを探す手間を考え、手軽に使うことができる竹で覆ってみました。
経過観察
アンドンを取ってから一週間が経過し、日に日に大きくなっているカボチャの様子です。 5月2日に撮影しました。
カボチャの葉やつるがどんどん成長しています。
カボチャの開花から結実まで
開花コントロール
カボチャが小さい段階で花を咲かせて受粉すると、カボチャの生育に負担がかかるそうです。
畑のカボチャも雄花をたくさんつけるようになりました。
この段階ではもう少し成長を優先させようと考えました。雄花を切り取り様子をみました。 5月2日の撮影です。
その後、カボチャのつるが十分成長して畝が見えなくなり、つるを成長させるためには手狭となりました。
立体栽培の支柱の仕立て
カボチャの立体栽培のため、半円形の支柱を仕立てました。5月20日に撮影しました。
用意した材料は次の通りです。
・直径90cm、長さ180cmの半円状の支柱 - 3本
・長さ210cmの棒状の支柱 - 3本
・その他資材として園芸用のバインド線(100均)
写真のように、半円状の支柱の天端とサイド45度の部分に、補強を兼ねて棒状の支柱を入れて仕立てました。
やや不安定だったため、斜めにも一本、補強を入れています。
人工受粉
5月初旬から雄花がたくさん咲き始め、5月中旬になると雌花も多く見られるようになりました。
当初自然受粉に期待して何もしていませんでしたが、受粉に失敗した雌花はすべて落実したため、人工受粉を施して結実させようと試みました。
数回人工受粉にトライし、5月末には人工受粉が成功し、無事結実していることを確認しました。6月1日に撮影しました。
受粉に成功した実が大きくなって、5cm程度まで成長している様子です。
結実
人工受粉させ結実したいくつものカボチャの実が大きくなってきました。6月11日に撮影しました。
既に20cmの大きさを超えたものも見られるようになりました。
梅雨時期に差し掛かり、結実したカボチャがすべて大きくなってきました。 6月16日に撮影しました。
10日前には5cm程度の大きさだった実が、20cmの大きさまで成長している様子も見られます。
最初に受粉に成功したカボチャの実は、既に30cm程度まで大きくなりました。芯が少しづつコルク状の色合いを見せはじめています。
収穫
梅雨時期の6月下旬、結実してから一ヶ月経過したカボチャを収穫しようと畑にでかけたところ、カボチャの実が動物にかじられているのを発見しました。6月24日に撮影しました。
梅雨時期も中盤に差し掛かり、野生動物に先を越されてしまいました。見事にかじられてしまいました。そんなこともあり、慌てて全てのカボチャを収穫しました。
かじられたカボチャの軸を観察するとコルク状になっていたことから、すでに収穫時期であったのかもしれません。自然落下した後に、動物にかじられたかもしれない、そう思うことにしました。
カボチャ栽培の病虫害
遅冬
写真は3月28日の様子です。既に発生したウリハムシの幼虫がカボチャの葉の上を歩いている様子です。
この幼虫が大きくなると、背中の甲殻が黄土色になります。
早春
写真は4月2日のカボチャの苗の様子です。遅霜にあたってしまい、立ち枯れの症状を見せて、葉が黄変しかかっています。
写真は4月18日のカボチャの様子です。ウリハムシと思われる食害が見受けられるようになりました。
梅雨
梅雨時期に入って過度の湿潤状態に弱いカボチャは、病気が見られるようになりました。
葉っぱにうどんこ病が見られ白くなったつるや、手入れをした際につるを切り過ぎて傷んでしまったつるが見受けられました。
写真は6月16日の様子です。カボチャの葉にうどんこ病と見られる白カビが広がりつつあります。
さて梅雨時期になり、病虫害が目立つようになりました。
両端のカボチャの葉っぱには、うどんこ病が見られ白くなってしまいました。
真ん中のカボチャのつるが全体的に傷んでしまっていることから、処分することにしました。
獣害
写真は6月24日の様子です。
カボチャの実が食害にあったばかり、まだ腐っていなかったのが幸いでした。
まとめ
カボチャは戦国時代、ポルトガルの伝来船とともに東南アジアを通じて日本に伝わりました。原産地はアメリカ大陸で、乾燥気味のやせた土壌でも育てられ、常温で保存が効く野菜として重宝されています。
カボチャの栽培にとって、過湿状態が大敵です。梅雨時期にはうどんこ病に注意する必要があります。農家さんでは、ビニールハウス栽培を行い、湿度コントロールを行っているようです。
カボチャの立体栽培は、狭い場所でも栽培できるオススメの栽培方法です。
露地栽培でカボチャを栽培する場合、収穫時期にはマメに畑を見回り、収穫期の病虫害や獣害に注意する必要が有ることが分かりました。