第十八話 チェーンソーを修理した話し

第十八話 チェーンソーを修理した話し

2022-01-30


エンジンのかからなかったチェーンソーを修理した様子をまとめてみました。

はじめに

農業では耕運機や管理機、草刈機を使い、造園業・林業では草刈機やチェーンソーを使います。
日々の農地のお手入れや荒れ地の開墾にはこれらの馬力のある農機を使い、少しでも省力化したくなります。

農業・林業・造園業などでは機材をすぐに使いたくなるような状況が必ずあります。
日ごろのメンテナンスを行い、ちょっとした不具合はすぐに修理して、いつでも調子よく使えるようにしておきたいものです。

今回、数ある農機の中から、Hikoki(旧日立工機)のエンジン式チェーンソーCS33EDTPを修理するチャンスがありましたので、本記事にまとめてみました。

エンジンのかからないエンジンチェーンソー

エンジンがかからないチェーンソーの修理依頼があったため、点検修理することになりました。
分解中のチェーンソー

このチェーンソーは2サイクルエンジンで、エンジン容量は32ccです。
燃料には混合ガソリン(燃焼可能なエンジンオイルを混ぜたガソリン)を使用します。

2サイクルエンジンのいいところは、なんといっても機構が簡単で、かつ小型軽量であることです。
このエンジンには消音マフラーが入っており、比較的音が小さく疲労しにくいというメリットがあります。

不具合確認と修理

まずリコイルスターターを回してみました。重い感触があり、圧縮は正常のようでした。
しかしリコイルを引いてもエンジンがかからないため、詳細を点検することにしました。
分解中のチェーンソー

エンジンのかからない不具合の原因を特定するため、まずは点火系から分解整備を行いました。

点火系の分解点検

点火系を清掃整備するためにサイドカバーを外そうとしたところ、リコイルのピックアップ部がぐらついていることが判りました。
ピックアップ部のネジが外れて脱落しており、内部に入り込んで取り出し不能となっていました。
チェーンソーの電装系のチェック

そのためこのネジを取り出した上で、リコイルスターターを含む点火系を全バラシして再組付を行いました。
特に点火タイミングに影響のあるリコイル表面のささくれをサンドペーパーで落とし、各部ギャップの調整を行いました。

機械系の分解点検

機械系を清掃整備するために安全カバーを外そうとしたところ、引っかかりがありました。
引っかかりが原因で、チェーンの張り調整ができなくなっていました。
チェーンソーの刃のチェック

安全カバーを外し、チェーン固定金具など機械系を全バラシして再組付を行いました。
特にチェーンの張り具合調整用のガイド部分で汚れ防止カバーが曲がっていたため、手曲げにて修正しました。
チェーンガイドカバーの手曲げ修正

燃料系の点検調整

ここまでの整備でエンジンがかかるようになったものの、カブり気味で回転がバラついていました。
アイドリング下限設定に調整が必要だったため、一旦全閉にして三回転開まで戻し、さらに開方向に微調整しました(気圧1012hPa, 温度8℃, 湿度46%)。

メンテナンス

一連の修理でエンジンがかかるようになったため、通常行うメンテナンス作業に移りました。

エアクリーナー清掃

カブりぎみの原因として吸気抵抗が大きくなっているようでした。
エアクリーナー及び吸入路の清掃を行いました。
チェーンソーのエアクリーナー清掃

チェーン部清掃

木くずとチェーンオイルが混ざって固着して、チェーンが回りにくくチェーンカバーの汚れも目立ちました。
汚れにまみれたチェーンカバー

摺動抵抗を少なくするため、チェーン部の拭き取り清掃を行いました。
清掃後のチェーンカバー

まとめ

自分ではメンテナンスできないような難しい農機具もあります。

修理前のチェーンソー

特にエンジン、回転機構、力のかかる稼働部については修理が難しいこともあり、場合によっては事故の危険性もあります。
ご自身で行う場合には正しい知識をつけて、十分注意して行ってください。