第十話 発泡スチロールのプランターで栽培する話し
2022-01-19
発泡スチロールで野菜栽培にチャレンジしてみましょう。
はじめに
きっかけ
野菜を育ててみたい、でも土地も場所もない、そう困っていませんか?
でもあきらめることはありません。
発泡スチロールに土を入れて、自宅のベランダや空きスペースなど小さなスペースに置いてみましょう。
ご家庭で野菜を育てることができます。
プランター栽培のメリットは、身近にあるもので手軽に始められることです。
メリット
花の栽培には鉢植えやプラスチックプランターが向いています。
しかし野菜の栽培は根や葉が大きく広がり作物の収穫に影響することから、大きな発泡スチロールが向いています。
野菜や花のお手入れは施肥や枝払いなど手入れがしやすいことが重要です。
全方向360度、どの方向からも手入れしやすくしておくと、土や肥料の補充も行いやすく、初心者が野菜栽培を学ぶにはもってこいです。
また病虫害が起きた場合、適切に農薬を噴霧したり、作物の隔離と可搬がしやすいというメリットがあります。
デメリット
手入れの際に土や肥料がこぼれるため、ベランダや庭を汚してしまうことがあります。
あらかじめ新聞紙やビニールシートを引いて片付けがしやすいようにしておき、汚れをすぐに拭き取るなど最小限にできます。
プランター栽培の始め方
1)発泡スチロールを手に入れる
大きな発泡スチロールはスーパーマーケットで無料で譲ってもらえることが多いです。
サイズは30x50cm〜40x60cmの大きさの発泡スチロールが野菜栽培に適しています。
魚の輸送につかっていたものはサイズも大きく強度もあっておすすめです。
発泡スチロールは意外と強度があり紫外線にも強いです。
耐久性は約1年程度で、我が家ではたまたま1年半使っています。
意外と紫外線劣化も少なく、作物が枯れたタイミングで取り替えるようにしています。
どうしても手に入りにくい場合、牛乳パックや100均のプラボックスで小さく始めることもできます。
2)土を入れる
まずは排水のため穴を開けます。
穴の周辺に少量の鉢底石を入れ土を入れていきましょう。
次に水はけと水持ちの調整をします。
これは言葉で説明するのはとても難しいので、慣れないうちは市販の培養土を使って始めてみましょう。
ホームセンターや100均に運びやすい重さに小分けされた土が販売されています。
そしてpH(酸度)の調整です。
慣れない言葉かもしれませんが、野菜には好みのpH(酸度)というものがあります。
最近主流の西洋野菜では、弱酸性から中性の土壌でよく育つため、この範囲内になった市販の培養土を最初は使ってみます。
日本の土壌は比較的pHの低い(酸性の強い)土壌が多く、よく言われるのは自分で土を作る場合には苦土石灰を混ぜ込むと書かれている文献が多いです。
最近人気の野菜ではpH6.0(弱酸性)〜pH7.0(中性)に近くすると良く育つ作物が多いので、栽培する野菜に合わせて土になじむよう調整しましょう。
3)施肥してタネを植える
野菜が育つには栄養分となる肥料が必要です。
栽培前に施肥しておきます。
種まきから収穫まで半年近くかかる玉ねぎや人参などであれば、ゆっくりと効く慣行性の肥料を使います。
大根など種まきから収穫までが早い場合、即効性の肥料を使います。
肥料は根の成長するタネ周辺に薄くまき、根の成長に伴い吸収されるように施肥します。
作物の成長期、収穫前にも状況に合わせて追肥して、種まきします。
プランター栽培の注意事項
栽培が終わった土は、いろいろな側面から土壌成分が偏っています。
土の成分や酸度も偏って土の中の微生物も偏るため、次に同じものを栽培すると土に耐力がなくなり、病虫害が出やすくなります。
栽培の切り替え時には土を休ませ、土中微生物を調整し、消毒して、肥料を補充します。
1)土壌成分の改善(水もち・水はけ)
粘土質や砂質といった無機質の土に、腐葉土や堆肥などの有機質の土を混ぜて、培養土とします。
元土が粘土質であれば無機質で土の粒子が細かいため、水抜けに関して目詰まりを起こしたり、すぐに土が固く締まって根が張りにくくなります。
そのため排水性を整える砂質土を混入して粒度をまばらにするとともに、有機質の腐葉土や堆肥を多く混入し保水性や保肥性の改善をします。
2)病虫害の予防(光消毒・熱消毒)
次の栽培に向けて、土を消毒し、土壌細菌のバランスを調整します。
栽培が終わった土は、一旦平らなトレーなどに開けて、古根をふるいにかけて取り除くとともに、ミミズなどの益虫を新しいプランターに移します。
土を薄く広げて日光にあてて消毒するしたり、黒いポリ袋に入れてしばらく放置し太陽熱を吸収させて熱処理します。
我が家では、もらい受けた腐葉土の中にいたコガネムシの幼虫が成長していたため、根を切って食べられないよう適切に処分しました。
3)土壌成分の調整(pH調整と施肥)
苦土石灰を混ぜ込み、土壌酸度を調整します。
苦土石灰が土になじむまで約2週間と時間がかかりますので、早めに混ぜ込んで次の栽培に備えます。
根のはる範囲に薄く肥料を混ぜ込みます。
根が張るであろう場所の近くに肥料を混ぜ込むのですが、肥料がなじまないうちに濃い肥料成分が根に近づくと肥料焼けを起こすこともあります。
肥料を薄く広げたり十分かき混ぜるなどして、塊ができないよう施肥には注意します。
4)発泡スチロールプランターの交換
難なく使用できた発泡スチロールは1年程度の周期で交換します。
終わったものは発泡スチロールゴミとして、地元のゴミとして処分できますので、安心して使用できます。
まとめ
野菜を育てる広い土地を持っていなくても、発泡スチロールを使うことで野菜栽培ができます。
発泡スチロール栽培は、農業を始める第一歩です。
ぜひ楽しんで始めてみましょう。