2025年第ニ話 春菊を栽培しました。

2025年第ニ話 春菊を栽培しました。

2025-05-04


春菊は、産直コーナーで人気のある野菜の一つです。2025年の野菜作りは春菊からスタートしました。

店頭に並べお買い上げを待つ春菊たち

葉物野菜の春菊は料理に使いやすいよう、小さめに収穫しキレイに袋詰めしました。
店頭に並べられた春菊は、今や今かとお買い上げを待っているようでした。

はじめに

春菊は、生で良し、煮て良し、炒めて良しと、一年を通してとても使いやすい野菜の一つです。

農家にとっても、育てやすく扱いやすい野菜です。発芽温度帯がとても広く、栽培条件を整えると、ほぼ一年中栽培することができる野菜です。

葉物にありがちな水切れによる端部の黄化にも強く、病虫害の影響を受けにくく虫くいや痛みも少ないため、即出荷できるキレイな状態で収穫できるのが扱いやすく強みでもあります。

春菊を育てる

春菊の種を選ぶ

今回春菊の種はアタリヤ農園さんの中葉春菊を選びました。種袋ひと袋で、税込165円です。

中葉春菊の種の袋

この春菊の種袋にはたくさんの種が入っており、容量45mlとなっています。

約8000粒以上入っている計算となります。
(1mlあたり150〜225粒として)

中葉春菊の種の袋

種を眺めてみる

春菊の種はとても小さく、粒径1.5~3mm程度で、粒の数や大きさには結構ばらつきがあります。

春菊の種

発芽確率は50%と表記されています。他の科、例えばアブラナ科やウリ科の野菜の種ですと70〜80%の発芽確率ですので、春菊はやや発芽確率が落ちるようです。

そのため種まき一ヶ所について、やや多め(複数個の種)をまくことで、確実に芽出しできるよう工夫します。

種を使う量を考える

一般的に、一反(10a)あたり2500〜3000粒くらいの種を栽培に使うそうです。
種まきの数は畝の作り方によって結構変わってくるものの、ひと袋で播種できる面積は三反程度にもなります。

畝作りしました

春菊を初めて栽培する場合、芽出しや成長などうまく栽培できるか気になるところです。

一般的には春菊は苦土石灰などで土壌改良してから栽培するようです。

畝作りを待つ畑

写真は2/1の畑の様子です。

春菊は畑土の質をあまり選ばず育ってくれるようで、しっかりと荒起こしして寒い時期に寒にさらし空気を含ませ、苦土石灰をすきこんで馴染ませることで、しっかりと育ってくれました。

ビニールマルチを敷きました

播種は2/14に行いました。一年で一番寒い時期です。畝の保温のため、太陽熱が吸収できるよう黒ビニールマルチを敷きました。

春菊を植える畝を作る

寒冷紗をかけました

一年で最も冷えるこの時期2月16日には寒冷紗を被せ、保温して様子を見ました。

寒冷紗には別の目的もあります。収穫時期の4月になると、急に日射しが強まります。

直射の強い日射しを受けると、葉が日焼けして黄化したり葉枯れして商品価値が下がり、収穫時の手間も増えることとなります。
葉枯れや黄化を防ぐためにも、不織布カバーは有効です。

冬の寒さを和らげるため寒冷紗をかける

春先はとう立ちの時期です。多くの冬野菜が花芽分化してとう立ちします。

春菊も同様にとう立ちしてしまうため、播種から収穫を終わらせるまで、一ヶ月半で終わらせます。
サイクルの短い野菜栽培となります。

強風対策をしました

3月は春一番というように、一年でもっとも風の強い季節です。

この時期私の畝でも強風が吹き、ときどき寒冷紗がめくれ上がりました。

写真は3/25の畝の様子です。
寒冷紗の上から半円支柱で風押さえをして、飛ばされないよう工夫しました。

冬春の強風で飛ばされないよう寒冷紗の上から支柱で押さえる

収穫しました

播種から一ヶ月半経ち4月に入ると、収穫できるサイズまで春菊が大きくなりました。

寒冷紗と支柱をとって収穫

今回心がけたことは二点あります。
・成長の良いところから少しずつ収穫する
・茎が太いと食感が筋ばるので廃棄する

最後の収穫です

写真は4/15の様子です。多くの春菊に花芽分化(とう立ち)が確認されました。今後全体的に筋張って食感が固くなるので、最後の収穫としました。

最後の収穫風景

収穫するサイズや状態にも気をつけました。
・袋(OPP袋)の7分目くらいの高さに切り、袋詰め作業を楽にする。
・葉
枯した部位、黄化した葉、筋張った部分を切り落とし、後工程の調整作業の手間を極限まで少なくする

また青物(葉物野菜)は、朝方の窒素吸収により苦味が増してしまいます。そのため収穫する時間帯を夕方に持っていくなど食味にも気をつけました。
・苦味を抑えるため、植物内で窒素が消費される夕方のタイミングで収穫する

調整作業と出荷

収穫のコツ

10号または11号袋の高さに合わせて春菊を収穫します。

やや実務的な話しをすると、出荷前日の夕方に収穫して、翌朝調整作業と袋詰めして開店前に出荷まで、半日程度のタイムラグがあります。
そのため収穫直後から写真のような容器に水を少量入れ、春菊に水を吸収させ、萎びないよう吸水させます。

その際、写真のような入れ物を畑に持ち込み、収穫した先から春菊を立てていくと、便利です。

収穫に便利な洗濯物入れで収穫かごに転用する

収穫したバスケットに水を貯め、仕切り板を入れ倒れないようにしておく、萎れないよう夜間給水させておくのが産直出荷のコツです。

袋詰め、出荷作業

早朝の袋詰め作業ではOPPシートが濡れて春菊が蒸れないようタオルで水分をとっておきます。

まとめ

耕作放棄地再生のバロメーターとしての春菊

耕作放棄地を開拓し地力と栽培の経過観察をする上で、最初の栽培作物は春菊は指標となる野菜です。

今回お借りした赤土の畑を管理機で耕し、苦土石灰を軽く撒いて播種を行いました。
写真は8/23の様子です。荒れ放題の畑を少しずつ開拓していきました。

春菊の植える予定の耕作放棄地

写真は9/14の様子です。まだまだ作付けできる状態ではありません。

春菊の植える予定の耕作放棄地

写真は11/30の様子です。ようやく地面が見えてきました。

春菊の植える予定の耕作放棄地

写真は12/3の様子です。一回目の土壌改良が終わりました。

春菊の植える予定の耕作放棄地

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